LINE公式アカウントを運営していると、「テキストだけでは伝わりにくい」「顧客とより深いコミュニケーションを取りたい」と感じることはありませんか。実は、LINE公式アカウントにはユーザーとビデオ通話ができる「LINEコール」という機能があり、オンライン相談やカウンセリング、面接など、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
この記事では、LINEマーケティング自動化サービスLigla(リグラ)のカスタマーサクセスチームが、LINE公式アカウントでビデオ通話を利用する方法や設定手順、活用メリット、注意点について、マーケティング初心者の方にもわかりやすく解説します。
LINE公式アカウントのビデオ通話機能「LINEコール」とは
LINE公式アカウントのビデオ通話は、「LINEコール」という専用機能を通じて利用します。LINEコールは、友だち登録しているユーザーが企業や店舗に対して、無料で音声通話やビデオ通話ができる機能です。
通常のLINE通話との違い
個人間のLINE通話とLINE公式アカウントのビデオ通話には、いくつかの重要な違いがあります。最も大きな違いは発信方法です。
- 通常のLINE:友だち同士が自由に通話を発信・着信できる
- LINE公式アカウント:管理者からユーザーへ直接発信できない
- LINE公式アカウント:「通話リクエスト」を送信し、ユーザーが応じることで通話が成立する
また、LINE公式アカウントでビデオ通話を利用するには、事前に管理画面での設定が必要ですが、ユーザー側は特別な設定や準備が不要で、普段のLINE操作と同じ感覚で利用できます。
LINEコールの基本的な特徴
LINEコールには、ビジネスで活用しやすい特徴が揃っています。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ユーザー・運営側ともに完全無料 |
| 通話タイプ | 音声通話とビデオ通話の両方に対応 |
| 利用可能プラン | コミュニケーションプラン(無料)を含む全プラン |
| 発信方法 | URLやQRコードからも発信可能 |
| 着信履歴 | LINE公式アカウントの管理画面で確認可能 |
LINEコールは無料プラン(コミュニケーションプラン)でも利用でき、音声通話とビデオ通話の両方が使えます。電話番号を共有する必要がなく、プライバシーにも配慮できます。
LINE公式アカウントでビデオ通話を利用するメリット
LINE公式アカウントのビデオ通話機能を活用することで、さまざまなメリットが得られます。
無料プランから利用できる
LINEコールの基本的な音声通話やビデオ通話機能は、月額0円の無料プラン「コミュニケーションプラン」から利用可能です。初期投資なしで、すぐにビデオ通話をビジネスに取り入れることができます。
ただし、着信を店舗の固定電話や携帯電話に転送する機能は、有料プラン(ライトプランまたはスタンダードプラン)限定となります。
テキストでは伝わりにくい細かなやり取りが可能
ビデオ通話を利用すれば、テキストメッセージや音声通話だけでは伝えきれない、細かなニュアンスを含めた詳細なコミュニケーションが図れます。
- 美容院でのヘアスタイルやカラーの相談
- 不動産のオンライン内覧
- 商品の使い方のデモンストレーション
- カウンセリングを通じた商品アピール
オンライン面接やレッスンなど幅広く活用できる
テレワークの普及により、オンラインでの面接やミーティングが一般化しています。LINE公式アカウントのビデオ通話を使えば、以下のような用途に活用できます。
- スタッフ採用時のオンライン面談
- オンラインレッスンやセミナーの開催
- 遠方の顧客との商談
- カスタマーサポートでの詳細な説明
ユーザーにとって心理的ハードルが低い
多くのユーザーが日常的にLINEを使用しているため、新しいアプリをダウンロードする必要がなく、気軽に利用してもらえるというメリットがあります。ZoomやTeamsなどの専用ツールと比べて、ユーザーの心理的ハードルが低いのが特徴です。
LINE公式アカウントのビデオ通話設定方法
ここからは、実際にビデオ通話機能を設定する手順を解説します。
ステップ1:チャット機能を有効化する
ビデオ通話を利用するには、まずチャット機能をオンにする必要があります。
- LINE公式アカウントの管理画面にログイン
- 画面上部の「設定」をクリック
- 「応答設定」を選択
- 「応答機能」で「チャット」をオンに設定
ステップ2:LINEコールを有効化する
チャット機能を有効化したら、次にLINEコールの設定を行います。
- 管理画面左メニューの「チャット」タブをクリック
- 「チャット設定」(歯車マーク)を開く
- 「電話」をクリック
- 「基本設定」のLINEコールで「利用する」を選択
- 「通話タイプ」で「音声通話とビデオ通話」を選択
通話タイプの選択肢
LINEコールの設定では、以下の3つの通話タイプから選択できます。
| 通話タイプ | 内容 | 利用可能プラン |
|---|---|---|
| 音声通話 | 音声通話のみ利用可能 | 全プラン |
| 音声通話とビデオ通話 | 音声通話とビデオ通話の両方を選択可能 | 全プラン |
| 転送 | LINEコールを任意の電話番号に転送可能 | 有料プランのみ |
オプション設定では、通話リクエストの有効期限(デフォルト30分)や、不在時に送信する自動メッセージも設定できます。業務時間や対応体制に応じて設定しましょう。
ユーザーへのLINEコール案内方法
LINEコールの設定が完了したら、ユーザーに通話ができることを案内する必要があります。
全ての友だちに案内する方法
不特定多数のユーザーからの問い合わせを受け付けたい場合は、以下の方法が効果的です。
- プロフィールページに通話ボタンを追加
- トークルーム右上に通話ボタンを設置
- URLやQRコードをWebサイトやSNSで公開
- 店舗のチラシや名刺にQRコードを印刷
特にURLやQRコードは、LINEコールの管理画面から簡単にダウンロードでき、オンライン・オフラインを問わず、さまざまな場所に設置できます。
特定の友だちにのみ案内する方法
採用面接や個別相談など、特定のユーザーとのみ通話したい場合は、「通話リクエスト」機能を使います。
- 通話したいユーザーとのチャット画面を開く
- 画面下部の「通話リクエスト」ボタンをクリック
- 「送信」をクリックしてリクエストを送信
- ユーザーが「電話をかける」ボタンをタップすると通話開始
通話リクエストには有効期限(デフォルト30分)があり、期限が切れると自動的に無効化されます。
Web版でビデオ通話ができない時の対処法
Web版の管理画面でビデオ通話を利用できない場合、カメラの設定を確認する必要があります。
カメラのアクセス許可を確認する
- 「チャット設定」→「基本」→「音声・ビデオ設定」を選択
- 「カメラ」の設定状況を確認
- 「許可されていません」または「ブロック」になっている場合は、「アクセスを許可」をクリック
ブラウザの設定を変更する(Google Chromeの場合)
カメラが「ブロック」状態の場合は、ブラウザの設定から許可する必要があります。
- Chromeブラウザ右上の「︙」→「設定」を選択
- 「プライバシーとセキュリティ」→「サイトの設定」→「カメラ」と進む
- 「chat.line.biz」を選択
- カメラの権限で「許可する」を選択
LINEコールのビデオ通話は、Google Chromeでの利用が推奨されています。Safari(Mac)やEdge(Windows)では正常に動作しない可能性があります。
LINE公式アカウントのビデオ通話活用事例
実際にどのような業界でLINEコールのビデオ通話が活用されているか、具体例をご紹介します。
不動産業界:オンライン内覧
遠方や多忙のユーザーに対して、ビデオ通話を使ったバーチャル内覧会を提供できます。物件の詳細を画面越しに見せながら説明することで、来店前に物件の雰囲気を伝えることが可能です。
美容室・エステ業界:事前カウンセリング
施術前のカウンセリングや、髪質・肌の状態確認をビデオ通話で行うことで、来店前から顧客の要望や悩みを把握できます。より的確な提案や準備ができるようになります。
飲食業界:テイクアウト注文受付
テイクアウトの急ぎの注文にも、LINEコールで迅速に対応できます。電話回線の混雑を避けつつ、スムーズな注文受付が可能になります。
スクール業界:オンライン面談・体験レッスン
入会前の個別相談や体験レッスンをオンラインで実施できます。遠方に住んでいるユーザーの獲得にもつながり、集客効果を高められます。
小売業界:オンライン接客
商品の詳細説明やサイズ確認などの個別接客を遠隔で行えます。ECサイトの商品写真だけでは伝わりにくい質感や色味を、リアルタイムに確認してもらえます。
LINE公式アカウントのビデオ通話利用時の注意点
ビデオ通話機能を活用する際には、いくつかの制限事項や注意点があります。
管理者から直接発信できない
LINE公式アカウント側からユーザーに直接電話をかけることはできません。電話に出られなかった場合は、チャットで通話リクエストを送る必要があります。予約確認や緊急連絡など、企業側から能動的に連絡を取りたい場合は、チャットや従来の電話を使う必要があります。
複数人での同時通話はできない
LINE公式アカウントのビデオ通話は、1対1の通話機能となっており、複数人で同時のビデオ通話はできません。グループでの面談や会議には利用できない点に注意が必要です。
利用環境が限定されている
- 推奨ブラウザ:Google Chromeのみ
- 利用可能:LINE公式アカウント管理アプリ、Google Chrome
- 利用不可:Safari(Mac)、Edge(Windows)など
ユーザーによっては利用を拒む場合もある
ビデオ通話は便利ですが、顔を出して会話することに躊躇するユーザーもいます。また、ビデオ通話を悪用した事例も報告されていることから、安易な利用を拒む人もいるかもしれません。利用者への配慮が必要です。
オンライン診療には利用できない
LINE公式アカウントのガイドラインでは、オンライン診療にLINEコールを利用することは禁止されています。医療機関でオンライン診療を検討している場合は、LINEヘルスケア社が提供する「HELPOドクター」などの専用サービスを利用する必要があります。
まとめ
LINE公式アカウントのビデオ通話機能「LINEコール」は、無料プランから利用でき、ユーザーとの双方向コミュニケーションを実現する強力なツールです。
テキストだけでは伝わりにくい細かなニュアンスを伝えられるだけでなく、オンライン面接やレッスン、商品の詳細説明など、幅広いビジネスシーンで活用できます。設定も比較的簡単で、ユーザー側に特別な準備が不要な点も大きなメリットです。
ただし、管理者から直接発信できない、複数人での同時通話ができないなどの制限事項もあるため、業務内容や運用体制に合わせて活用することが重要です。
LINE公式アカウントを効果的に活用し、ユーザーとのより深いコミュニケーションを実現するために、ビデオ通話機能をぜひ取り入れてみてください。