LINEマーケティング自動化サービスLigla(リグラ)のカスタマーサクセスチームが、有名なMAツールを比較するときに押さえたい考え方を、EC・小売・アパレル・人材・BtoC企業の担当者向けに整理しました。
MAツールと一口にいっても、メール配信を軸にしたものと、LINE配信を軸にしたものでは、得意なコミュニケーションや成果の出し方が大きく異なります。
「有名なMAツールは多いけれど、自社にはどれが合うのか分からない」
「メール配信型とLINE配信型の違いが曖昧」
「LINE公式アカウント単体で十分なのか、拡張ツールまで必要なのか判断しづらい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、比較の軸を先に整理したうえで、メールツール3選とLINE配信ツール3選の特徴をわかりやすく紹介します。
まず全体像を整理する
有名なMAツールを選ぶときは、機能数の多さよりも「どの接点で顧客を動かしたいか」を先に決めることが重要です。ECならかご落ち対策や再購入促進、店舗型なら来店促進やクーポン配信、人材なら応募促進や面談予約導線など、目的によって相性の良いツールは変わります。
まず理解したいのは、比較対象が同じ「MAツール」でも役割が異なることです。
メール配信型は、メルマガ、ステップメール、フォーム連携、スコアリングなどを通じて中長期の顧客育成に向きます。
一方でLINE配信型は、スマホでの接触頻度が高く、クーポン、リッチメニュー、1to1接客、行動連動配信といった即時性の高い施策に強みがあります。
LINEの月間利用者数は1億人以上(2025年12月末時点、LINEヤフー株式会社発表)にのぼり、BtoCでは接点づくりの有力候補です。
- 自社の主な接点がメールなのか、LINEなのか
- 新規獲得よりも、再購入・来店・応募促進の比重が大きいか
- 顧客データや会員IDを連携して配信を最適化したいか
- 現場が使いこなせる運用負荷か、サポート体制があるか
| 項目 | 概要 | 向いているケース |
|---|---|---|
| メール配信型MA | メール、フォーム、スコアリング、シナリオ配信を中心に見込み客を育成するタイプ。比較的長い検討期間のフォローに向く | BtoBのリード育成、資料請求後のナーチャリング、複数部門で商談化を追うケース |
| LINE配信型MA | LINE公式アカウントを拡張し、セグメント配信、行動連動配信、クーポン、予約導線、1to1接客などを強化するタイプ。LINEの平均開封率は約55%(2022年6月 LINEヤフー株式会社調べ)と、メールの約20%前後と比較して高い到達力がある | ECのかご落ち対策、店舗の来店促進、アパレルの会員活性化、人材の応募後フォロー |
| LINE公式アカウント単体 | 基本的な配信やチャットはできるが、細かなシナリオ設計やデータ活用には限界がある | まず小さく始めたい、配信本数が少ない、運用がシンプルなケース |
| 拡張ツール連携 | 会員ID連携、Web行動データ活用、かご落ち配信、レコメンドなどを加え、成果改善を狙いやすくする | CV改善をKPIに置くBtoC企業、配信の出し分け精度を高めたいケース |
MAツールとメール配信ツールは同じではない
混同しやすいポイントですが、メール配信ツールは「一斉配信や簡単なステップ配信」が中心であることが多く、MAツールはそこに顧客データ管理、スコアリング、シナリオ設計、効果測定まで含めて考えます。
つまり、メールを送れるだけではなく、誰に、どの順番で、どの条件で出し分けるかまで設計できるかが分かれ目です。
LINE公式アカウント単体と拡張ツールの違い
LINE公式アカウント単体でも情報発信や簡単なチャットは可能です。
ただ、ECで「商品閲覧後におすすめを送る」「カート投入後にリマインドする」、店舗で「来店履歴に応じてクーポンを出し分ける」といった運用を本格化するなら、拡張ツールの検討が現実的です。
LINE公式アカウントの平均ブロック率は約36%(LINEヤフー for Business公式note)で、ブロック理由の1位は「配信頻度が多すぎる」(26.5%・モビルス株式会社 2025年調査 655名対象)です。配信数そのものよりも、反応率を高める設計のほうが成果に直結します。
比較・判断基準はこの4つ
有名なMAツールを比較する際は、機能一覧を眺めるだけでは判断しにくいものです。
自社の現場で必要になる順に、配信機能、データ連携、コスト感、サポート体制を見ていくと、候補を絞りやすくなります。
特にEC・小売・アパレル・人材の現場では、単なる一斉配信よりも、セグメント配信、ID連携、行動連動配信、かご落ち対策が実務上の分かれ目になります。
- 配信機能:セグメント、シナリオ、ステップ、レコメンド、A/Bテストの有無
- 連携性:EC基盤、会員DB、CRM、広告、店舗データとつなげやすいか
- コスト:初期費用・月額だけでなく、配信量や運用負荷も含めて見積もれるか
- サポート:導入設計、初期設定、振り返り支援まで受けられるか
| 比較軸 | メール配信型 | LINE配信型 | 見るべきポイント |
|---|---|---|---|
| 顧客接点 | メルマガ、フォーム、LP、資料請求後の継続接点に強い | スマホ接点、来店・購入・応募直前の後押しに強い | 検討期間が長い商材か、即時反応を取りたい商材か |
| 配信の出し分け | 属性や行動履歴を使ったメールシナリオが中心 | 友だち属性、回答、行動、会員情報を使った配信に強い | どの粒度までセグメントしたいか |
| ID連携 | CRMやSFAとつなぐ運用が主流 | 会員IDや購買データと連携しLTV改善を狙いやすい | EC・会員ビジネスならID連携のしやすさが重要 |
| 行動連動配信 | 閲覧や資料請求起点の育成に向く | かご落ち、再購入促進、来店促進などに向く | どの行動をトリガーにしたいかを具体化する |
| 現場運用 | マーケ部門が中心になって運用しやすい | 店舗、CS、営業、人材紹介担当まで巻き込みやすい | 誰が日々触るのか、現場で回せるUIか |
ケース別の選び方
自社に合うかどうかは、業種と成果目標に置き換えると判断しやすくなります。
迷った場合は、まず「売上や応募の直前行動を取りたいのか」「中長期のリード育成をしたいのか」を分けて考えるのがおすすめです。
- いちばん改善したいKPIを決める
- そのKPIに直結する顧客接点を特定する
- 接点に必要なデータ連携を洗い出す
- 運用できる体制とサポート要件を確認する
| ケース | 向いている選択 | 理由 |
|---|---|---|
| EC・通販企業 | LINE配信型を優先、必要に応じてメール型を併用 | かご落ち対策、再購入促進、商品レコメンドなど即時性の高い施策を回しやすい |
| 店舗型ビジネス | LINE配信型 | クーポン配信、来店促進、店舗別メニュー出し分けなど、来店導線と相性がよい |
| BtoB企業 | メール配信型MA | 資料請求後のリード育成、営業連携、スコアリングなど、中長期の検討フォローに強い |
| 会員ビジネス | LINE配信型またはハイブリッド | アプリ代替としての接点維持に加え、会員情報を使った活性化施策を実施しやすい |
有名MAツールの機能やおすすめポイントを比較
メール配信型ツール3選
有名なMAツールのなかでも、メール起点での顧客育成やマーケティング運用に使いやすい代表的な3サービスを紹介します。向いている企業規模や運用スタイルはそれぞれ異なります。
| ツール名 | 主な特徴 | 向いている企業 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| HubSpot Marketing Hub | CRMと一体で使いやすく、メール・フォーム・レポートをまとめやすい | MAをこれから整備したい企業、マーケと営業の連携を進めたい企業 | LINEを主軸にした施策は別途設計が必要 |
| Adobe Marketo Engage | 高度なシナリオ設計、リード管理、分析機能を備える | 運用体制があり、細かな施策管理を行いたい企業 | 使いこなしには設計力と運用リソースが必要 |
| Salesforce Marketing Cloud | データ統合、ジャーニー設計、複数チャネル活用に強い | 大規模運用や複数部門での顧客接点最適化を進めたい企業 | 比較的導入検討の難易度が高くなりやすい |
HubSpot Marketing Hubは、フォーム、CTA、メール自動化、CRM連携、レポートを一つの基盤で扱いやすい点が強みです。
「まずMAを整えたい」「営業やCRMともつなげたい」という企業に向いています。
(出典:HubSpot公式|Marketing Hub)
Adobe Marketo Engageは、リード管理、メールマーケティング、アトリビューション、ABMまで含めて設計しやすい本格派のMAツールです。高機能な反面、運用設計をしっかり組める体制がある企業向けです。
(出典:Adobe公式|Marketo Engage)
Salesforce Marketing Cloudは、メールに加えてモバイル、広告、ジャーニー設計、データ基盤との連携まで視野に入れやすいサービスです。
すでにSalesforce製品を使っている場合は、連携面のメリットも感じやすいでしょう。
(出典:Salesforce公式|Marketing Cloud)
LINE配信型ツール3選
LINEを軸に売上や応募、来店などの成果改善を狙いやすい3サービスを紹介します。BtoCでは、LINE公式アカウントの運用だけでなく、どこまで行動データや会員情報を活用できるかが差になります。
| ツール名 | 主な特徴 | 向いている企業 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| Ligla | Web行動履歴、ID連携、かご落ち対策、レコメンド配信、月50万通無料枠 | EC・通販・アパレル・人材など、CV改善をLINEで進めたい企業 | 料金は要問い合わせのため、導入前に要件整理が必要 |
| Mico Engage AI | 友だち獲得、AIセグメント、Web行動連携、複数拠点管理まで対応 | 広い機能群から自社に合う運用を組みたい企業 | 多機能なぶん、優先施策を決めて導入するのが重要 |
| Liny | LINE運用の仕組み化、顧客対応、販促活用を進めやすい | 店舗、教育、自治体、サービス業など幅広い業種 | 高度なデータ活用をどこまで行うかは事前確認が必要 |
Liglaは、LINE特化型のマーケティングオートメーションです。
東証プライム上場のブレインパッドグループが提供しており、「Rtoasterのロジックを活用」したレコメンドエンジンを搭載しています。Web行動履歴、会員情報、購買データなどをもとにしたパーソナライズ配信に強みがあり、月間50万通まで無料の独自配信枠(LINE公式アカウントの無料通数とは別枠)を備えています。
導入から配信開始まで約8週間で運用を始められます。料金は要問い合わせです。
(出典:Ligla公式、Ligla機能紹介)
Mico Engage AIは、友だち獲得から顧客の見える化、配信最適化、AIによるセグメンテーションまで幅広いLINE運用機能を持つサービスです。
Web行動データ連携や1st Partyデータ連携にも対応しており、複数拠点や複数部門での活用を視野に入れやすい構成です。
料金は要問い合わせです。
(出典:Mico Engage AI公式|機能)
Linyは、LINE公式アカウントの運用効率化や顧客対応の仕組み化を進めたい企業に検討されやすいサービスです。
販促、問い合わせ対応、予約導線、会員コミュニケーションなど幅広い用途で使われており、LINE施策を現場に定着させたい企業に向いています。
料金は個別見積もりです。(出典:Liny公式)
結局どう選べばいいか
最終的な判断では、「有名だから」ではなく、自社の売上構造に合うかで選ぶことが重要です。メール配信型とLINE配信型は競合というより、得意領域が違います。
- 資料請求後の育成や長い検討期間のフォローが主軸なら、メール配信型MAを優先する
- 来店、購入、応募など即時の反応を取りたいなら、LINE配信型を優先する
- ECや会員ビジネスでは、ID連携と行動連動配信の有無を必ず確認する
- 比較時は機能数よりも、運用体制とサポートの現実性を重視する
もし自社が「LINEを主軸にCVや売上改善を進めたい企業」であれば、LINE公式アカウント単体で済ませるのではなく、拡張ツールでどこまで配信を最適化できるかを見ていくのがおすすめです。特にEC・小売・アパレル・人材のように、反応スピードと出し分け精度が成果を左右する業種では、この視点がそのまま選定の質につながります。
FAQ
LINE公式アカウントだけでも十分ですか
基本的な情報発信や簡単なチャット運用なら十分な場合があります。ただし、会員ID連携、かご落ち配信、詳細なセグメント、Web行動連動などを重視するなら、拡張ツールの検討が現実的です。
無料プランでも始められますか
LINE公式アカウントのコミュニケーションプラン(月額0円・月200通)で試すことは可能です。ただし、友だち数が増えると配信通数や機能面で不足しやすくなります。追加メッセージ配信に対応しているのはスタンダードプラン(月額15,000円・税別・月30,000通)のみで、コミュニケーションプランとライトプランでは上限を超えた追加配信はできません。(出典:LINEヤフー for Business|料金プラン)
ECではメールとLINEのどちらを優先すべきですか
かご落ち対策、再購入促進、クーポン訴求など即時性の高い施策が重要なら、LINEを優先しやすいです。一方で、購入後の中長期フォローや情報量の多いコミュニケーションにはメールも有効なので、併用前提で考えるのもおすすめです。
BtoB企業でもLINE配信型は必要ですか
商材や顧客接点によります。法人営業の育成が中心なら、まずはメール配信型MAが合いやすいでしょう。ただし、採用や店舗予約、イベント来場など個人接点がある場合は、LINE配信型のほうが成果を出しやすいケースもあります。
比較時に最初に確認すべきことは何ですか
最初に確認したいのは、改善したいKPIです。売上、来店、応募、商談化のどれを優先するかが曖昧なままでは、機能比較をしても判断しづらくなります。KPIが決まれば、必要なチャネルと機能も整理しやすくなります。
LINE MAツールをさらに比較したい方へ
「メール配信型とLINE配信型の違いは分かったので、次はLINE MAツール同士を詳しく比較したい」という方は、以下の記事もあわせてご覧ください。